チーク材の着色

古い銅版画は、薄黄色に変色。
作品に大小多数のシミが発生。
ガラスは、内側にカビが付着。
チークのフレームにも傷みあり。

5月、雨にもかかわらず世田谷からご夫婦で来社。
ありがとうございました
古い銅版画など十数点をご持参いただきました。
作品は、マニアックな傾向 でした。

そして ご希望は、明快。
作品の修復はしない。
作品の変色を目立たぬようにする。
シンプルでセンスよく仕上げる。
これ以上作品に傷みが出ないように処方してほしい。
できるだけ価格を安くしてほしい。
条件が多数 出ました。(笑)

額縁を決めてからマットを決める場合が多いのですが、
今回は、マットを先行することになりました。
ベージュの布を貼ったフランスマット。
作品を合せてみました。作品の白さが生き返りました。
マットは、即 OKを獲得。
ここまでは、順調な流れです。

額縁は、今と同じ材質のチークを選定。
合せてみました。
お客様からは、OKが出ません。
サンプルで用意しているチークは、やけて色が濃くなっています。
木目も黒くなって作品と反発してしまうようです。
確かに強すぎますかね。
他の材質に変えて合せてみました。
やっぱりチークが、一番ご希望のようです。

結局 2~3日の研究時間をいただくことになりました。

さて、研究タイム 
スタイルは、チークA型に決めました。
問題は、木地の着色です。
トノコにアンバー粉等を混ぜて水に溶きます。
この調合具合が、味噌です。

これをチーク額縁全体に塗込んでいきます。
乾けば、丁寧に落とします。
その上にシーラーを薄めて塗ります。
乾燥後 軽くボンスターをかけてワックスで磨きます。
とりあえず 数種類の色サンプルを創りました。

職人それぞれの意見の違いもあり
最終的には9種類。
その中のひとつを選抜。

これで木目の黒色が弱くなりました。
目標の淡い色合いが全体に出ています。
これで仮額装し、お客様に見ていただくことに。
多少自信あり。
再度のご来社(恐縮です)。

そして奥様にもOKをいただきました。
と申しますより今回は、とても喜んでいただけました。
この時は、私達も、最高にうれしいですね。(本当に)
シミが目立たなくなったことと紙の白さが蘇生したようです。
うまくいきました。(自画自賛)

作品の変色が進まぬように中性マットとUVカットアクリルでサンドイッチ。
残りの額装も一週間で、完納させていただきました。

チーク材 額縁
額装途中で、予想外のハプニングに苦戦することがあります。
又、思わぬ寄り道で新ノウハウを発見することもあります。
担当責任者 門間(もんま)さん 最後までご苦労様でした。

朝からワクワクできるこの仕事。
イヤーッ 辞められませんね。

また明日も頑張ります。

      額縁コーディネーター  ㈱アート・コアマエダ