心を揺さぶられる

台風が集中しました。
風や雨で各地に被害が出ているようです。
被災地の皆様には、心からお見舞いを申し上げます。

埼玉、三芳町では青い空が見えてきました。
お元気ですか。

私事で始まりますが、
先週、自宅近くの病院で大腸のポリープを切除しました。
小さいのを二つぷっちん。
一泊入院でした。
事前の心配より実際は簡単でした。
「他は、異常なし」とのお墨付きもいただきました。
まずはひと安心です。

内視鏡手術の部屋へ移動する直前に
安普請の処置室で、
何かの注射を打っていただいていたその最中。
隣の部屋でドタバタの気配。
複数の大きな足音が響いていました。
救急車でどなたか運ばれてきたようです。
若い男性が大きい声で何かをしゃべっています。
てっきりトラブルかと思いました。
それが若い医師の声であると確信できたのは、
暫くしてからのことです。
かなり明瞭で信念に固められた口調です。
雑音の反響する中、その声だけは小生の老耳にも捕捉できました。

患者さんの声は、か細くて聞こえません。

「あなたのご家族の事情は、わかりました」
「命は大事です」
「あなたが76年間しっかり生きてこられたことに敬意を払います」
「でもこのままお帰しすることはできません」
「命の保証ができません」
「私は医師としてあなたに命令いたします」
「即刻入院してください」
「急を要します」
「お願いします」
・・・・

熱意は、隣室の私にも伝わってきました。
言葉は厳しいけれども救命の意志が半端ではない。
この患者さんに何らかのご家族の事情があったと想像します。
そして事の顛末も不詳ですが、
この医師の言葉の力は通じたものと信じています。
医師が発した言葉の順序は、記憶違いもあると思いますが、
心を揺さぶられました。

この世も捨てたものじゃないですね。 
   
   額装㈱アート・コアマエダ(店主)