技術の伝承「今昔」

春はもうすぐ!

こんにちは。

仕事柄、さまざまな所で匠に出会います。日本にも伝統技術の承継に年季奉公、丁稚の制度がありました。

昭和30年代まではまだ額縁の業界にも徒弟制度が色濃く残っていました。核となる高名な師匠が存在し、そこへ弟子入りして下働きをする間に技や心を習得する。そこから独立してまた新しい額縁屋が生まれるという、明治以降そのようにして額縁屋さんが派生していった歴史があったようです。経営や営業が苦手な人は、一生を親方の下請けとして継続する例もありました。

そのような経緯を経て独立された社長さんに話を伺ったことがあります。

「金の卵といわれて集団就職で上野駅に着いた」「当時は安い給金でハードな仕事」「でも食事と寝る処はあった」「徹夜はあったりまえで、長時間労働」「辛いことも多かったね~」「土曜の休みなんてありませんでしたよ・・当時はね」「たまの休みには見習いの人達で草野球をやったり、社交ダンスを習ったりと、ささやかながら楽しい思い出もありますが・・・」「そう、当時は社交ダンスが流行っていましてね。あっはっは・・・」「そして、お蔭様で独立できたのだが・・・。でも修行は、やっぱりきつかったなぁ」「ボーリング?それはもう少し後の時代だよ・・」

ゴツゴツとした指と爪、遠くを見つめる眼と表情が印象的でした。

小生などはその次の世代になります。

相撲や落語の世界では、弟子入り制度は今もあたりまえですが、昨今の額縁の業界では、まず見掛けなくなりました。機械化とPCの導入で労働環境は変わりました。職人技術の出番が圧縮され、額縁のマーケット規模も小さくなったように思います。

当時の徒弟制の中で「製品には造る人の心が必ず反映する」と教えられたそうです。「額縁のさりげない部分にも特に注意・・・」と。このような心の部分は、徒弟制ならではの特筆すべき伝承ですね。

今日は、朝から雪が降りました。

古民家雪化粧

弊工場二階からの早朝の風景です。白くなっている藁ぶき屋根は、民族資料館内の古民家です。     

 恋は子供を大人にし、大人は子供に戻っちまうそうだ!
     
  額縁を愛する額装結社の㈱アート・コアマエダ(店主)