日にち薬


日本列島は、本格的な冬の気圧配置です。
元気にお過ごしのことと思います。

また入院中の話をさせていただきます。

ちょうど手術から14~15日ほど経過した頃でした。
当初の「もしかしたら死ぬかもしれない」という恐怖感も無くなり
苦しさや激痛からも開放された頃のことです。
そうなると心に余裕が出てきます。
日常のことや、仕事のことに思いが巡るのです。
そして「早く退院したい」とやたら焦ってきたのです。
あれやこれや浮世のことが、気になりだす。
朝から不機嫌顔で天井と「にらめっこ」をしていました。
人情味のある先生でしたが、陳情しても取り合っていただけません。
たまたま婦長さんに愚痴ったところ、
今、あなたに大切なのは「日にち薬」ですよ
と、諭されたのです。

「何をのんびりしたことを言ってくれるか」
「今すぐにでも退院したいのに」

一瞬そう思ったのですが、
その薬の名前を反復していると
妙に落ち着いてきました。

「薬」は、菌を殺したり痛みを抑えるのには力があります。
でも「焦る心」には効果がありません。
こんな状態の私にとっての特効薬は、
「日にち薬」
この言葉でした。

今では、お陰様で杖なしでも歩けるようになりました。
「ありがたい薬」に感謝です。

埼玉の額装職人は、今日も焦らずリハビリに頑張っています。

   額装の㈱アート・コアマエダ