鉄の起源と人類の苦悩

鉄の起源と人類の苦悩
奈良の唐招提寺の修復風景がテレビで放映された。
駄目な木部は、取り替えるが、できる限り再利用するそうだ。
注目したのは釘です。

千年前の釘を再利用する?

焼入れはするが、十分使える。
純度の極めて高いこの釘。
大手製鉄会社のOB技術者が、首をひねる。
千年前の製鉄方法。 どうやって造ったのか。
「近代の製鉄技術を学んだ私にも方法は良くわからない」
「今と違う方法で製鉄されたのでしょうが・・・」
「でもその製造方法は良くわからない」と
テレビの中でも、推理は出たが結論はでなかった。

何かの本で読んだことが有る。
その昔、朝鮮半島に鉄を生産するグループがあったとか。

何百人の少数単位。

血縁の一族なのでしょう。
いくつものグループがあったと想像される。


生産には、熱エネルギーとして大量の木炭を必要とします。
しかも山を掘り崩して砂鉄を採ります。
その為 精錬する度にその周辺は、岩山になってしまう。
よって彼らは、移動を常とするが、後年多くの緑を消失したことにより
半島の多くは、岩肌を露出。

ここに砂漠化がはじまった。
自然破壊である。

コークスが使用されるのはもちろんずーっと後のこと。

そこで目をつけたのが海の向こうの日本列島。
緑に恵まれた島、しかも伐採しても再生しやすい水利と湿順な気候。
日本の島へ移動を始める。
最初の居留地は、島根県(出雲)あたりと考えられる。
グループ単位で移住して来たのでしょう。
子孫は、日本に溶け込んだ。

西暦400年頃、ここから稲作の効率的な生産が始まったと考えられています。
器具が鉄に変わり土木作業の能率化促進。
水田面積が増え食料生産の向上。
飢えから開放されると 結果として人口は、増えることになる。
やがて13 – 14世紀の頃には、アジアでも最大の鋼(はがね)の生産国になっていった。

日本列島の男達も鋼による性能の良い武器を持つようになった。
元気の有る男達は、それぞれが主義主張をはじめる。そして利害が絡む。
土地の拡大や宗教を基に戦いをはじめた。
戦いの理由は、時代によってそれぞれ違う。
そんなことより 勝者は、益々富める者となるこの事実。
富の偏りは、人間の限りなき欲望、煩悩、嫉妬を惹起。
そして、そこには、必ず無残な敗者がうまれた。

つまり製鉄の起源とは、富と同時に人々の苦悩の始まりでもあった。
と考えられないでしょうか。
金や銀の生産に大いに沸いた時代もありました。
石油が、戦争の原因になった時代もありました。
又、マネーの凶暴性は、世界中に苦しみの陰を今も残しています。
これは、近年私達が学習したところです。

いつの時代も なぜ繰り返すのでしょうか。
 懲りない人間達の苦悩。

           額縁屋    ㈱アート・コアマエダ