修復は、ミッション
こんにちは。
先週の変則的な雨には、うんざりでしたね。
お元気ですか。
先月から弊社では「気合」を入れて取り組んでいる仕事があります。
額縁の修理の仕事です。
あるオークション会社からのご依頼で油縁60余点。
それぞれに大きさや形も異なり見積もりにも時間を要しました。
まず、お預かりした状態のままに綿密な撮影を行います。
修理箇所の確認と個別の処置の作戦を立てます。
そして、タイムスケジュールを熟練の職人とともに計画します。
すべてをデーター化し、見積書をお客様にご報告。
お客様と最終打ち合わせをした後、正式オーダーをいただきました。
作業はここから始まります。
まず丁寧に作品だけをはずして別途保管室へ。
かなり古い作品もありますので、個別に保護袋に入れてナンバー添付。
額縁は一度分解してばらばらにします。
見積もりの時にはわかりかねないことなのですが、
内側の腐食が予想以上に進んでいることがあるのです。
今回も外からはわからなかった問題がいくつか。
そこは削り落として、同質の木片を埋め込みます。
まるで外科手術です。
状況によっては膠と石膏で手当てをします。
エポキシ樹脂を錬り込む場合もあります。
ネジや釘は、出来る限り使わないようにしています。
その都度、熟練の職人の判断で対応。
形を復元できたら7割方完成でしょうか。
次に塗装です。
もともと使われた塗料を分析し、最適の材料を採用します。
一部でも金箔が剥離している場合は、
もったいないのですが全て剥がします。
下地を再度丁寧に塗りなおし、全体に金箔や銀箔を貼りなおします。
そして乾いたら元のように「着色」と「いぶし」で完成です。
この時点でもう驚くほどに綺麗になっています。
当初の写真と再照合を行います。
そして額縁に作品を取り付けてから最終チェック。
新しい布袋と箱に収めて完成となります。
本日現在では、ほぼ40点が完成しました。
レベルの高い職人さんが造った額縁は修復もやり易いですね。作業していると、最初に造った人の気持ちや「心意気」が、見えてきます。
– 弊社の職人、池田談
本日はいささかおこがましい記事のタイトルをつけてしまいましたが、それくらいの意欲と誇りを持って対応させていただいている、とのことをお伝えしたかったのです。
皆様にとって、素晴らしい一週間でありますように。
「アメニモマケズ」宮沢賢治の心意気で頑張っています。
額装の㈱アート・コアマエダ(店主)