勢いのパワー

フランシスコ・ピサロ



めっきり寒くなりました。
お元気でお過ごしのことと思います。
健康は自らの責任で管理しなければなりません。
そんな訳で、休日には公園の歩道をなるべく長く歩くことにしています。
新鮮な空気を満喫しながらのリハビリウォーキング。
季節の変化も楽しんでいます。

ところが時折遭遇するあの集団には
こころを乱されます。

公園のメイン歩道。
道幅いっぱいにひろがり
威勢よくこちらに向かって走ってくる。
横に10人くらい・・・総勢50人くらいの密集した塊。
傍若無人とも思えるその集団が
小生などを踏み潰すような勢いで迫ってくるのです。

危険を察知。眼を凝らすと老若男女が適当に混ざっている。
ほぼ統一されたユニフォームとサングラス。
何かのサークルであろう。
一人ひとりは、たいしたツワモノとは思えない。
しかもほとんどの人が笑顔。
足音は突撃する馬のリズム。
群れると重量感があります。
まるで騎馬隊。

元気な身体であれば、
中央突破で「おりゃー」と対抗して見せるのだが、
何しろ今の小生の身体では心もとない。
強がって接触転倒でもしたら、それこそ惨めなことになる。
こんな時は(君子危うきに近寄らず)
すばやく隅に退避する。
「さあ、どうぞ・・・」
悔しいけどさ。
去れば、ゆっくりと、いつものリハビリモードに切り替えるのである。
「いずれ中央突破できる時がくるさ・・・」
なんてつぶやきながら歩き出すことにしています。

そこで思い出すのが黄金の帝国「インカ」のことです。
王の周りには、いつも千人単位の武装した警護兵がついていた、
といわれています。軍隊もよく訓練をされていたと考えられるのです。
それが、スペインのピサロ率いるところの
わずか150人ほどの騎馬集団に大負けしています。
そして王を生け捕りにされてしまった。
これは、歴史上の事実ですが、
多勢の兵が、少勢の兵になぜ負けたのだろうか。
護衛の兵たちは、何をしていたのだろう。
長い間、疑問に思っていました。

今は、わかるような気がします。
ピサロの騎馬隊は公園で遭遇するあの集団の比ではない。
恐ろしい迫力で、追い掛け回し、疾走するエネルギーに
圧倒された警護兵は、きっと逃げ惑ったことであろう。
公園での小さな恐怖からそんなことを連想しました。

この時期、風邪などひかないように気をつけてお過ごしください。
そしてゆっくりとしか歩けない人を見つけたらやさしくしてあげましょう。

  リハビリ応援団  額装の㈱アート・コアマエダ