縁の下の力持ち

弊社工場がある三芳町、関越自動車道所沢インターの近くに位置しています。
満開だった桜もほぼ終わり、初夏を感じさせる強い日差しです。

お元気でしょうか。

久しぶりに仲良し同業者の「勉強会」がありました。
と言ってもほぼ「飲み会」の隠れ蓑。
成増駅近くに集合。(この駅は、飲み会に不思議なご縁があります)

ところが今回はいつもとは様子が違い
日頃の職人の愚痴を漏らすだけの飲み会に終わりませんでした。

額縁屋としての原点。
使命感。
これからの額装業はどうあるべきか。

あまりにも真摯で前向きの言葉が飛び交ったのです。
最初は耳を疑いました。

今夜はどうなっているんだ?

ゲストの商社勤務の青年からは、最近の家具業界の裏話等がありました。
どれも聞きもらす訳にはいきません。
酔いがまわる直前まで姿勢をただして拝聴しました。

例えば最近の海外の額装事情としてこんな話がありました。
ヨーロッパではキャンバス展示が流行しているとのこと。
つまり額縁を使わない展示法が主流だとか。

・・・これは、聞かないほうがよかったな。
がっかり(笑)

しばらく談笑を続けるうちに
「俺達の仕事は所詮、縁の下の力持ちってことだよなぁ・・・」
いつものように自虐的な会話に移りかけました。
私も「そうだなぁ~」とあいまいに共感。
この時は既にほろ酔い。

ところがですね。
この日は、本当にいつもと違った。
珍しく前向きの人達の意見が多かったのです。

「主人公である作品より目立つわけにはいかない・・・」
「それが額縁の宿命」
「まあ、それはそれでよいではないか」
「しっかりと美術の仕事を裏から支えていく・・・」
「むしろ光栄なことだ」
「これが額縁の役割なんだから・・・」
「これからもそのような気持ちで業界を盛り上げていこうではないか」

なんて具合に。

久しぶりにポジティブな気持ちで締めくくることができました。
3時間に及ぶ勉強会も笑顔で散会。

「縁の下の力持ち・・・か」

つぶやきながら私は電車に乗り込みました。
また明日から新しい額装の仕事が始まるのです。

   額装職人㈱アート・コアマエダ