画家は詩人

おはようございます。
もう10月もあとわずか。
早すぎ!
お元気ですか。

先週の日曜日夜NHK「教育」の美術の番組で、
104歳で亡くなられた「まど・みちお」さんの特集がありました。
まどさんは童謡の「ぞうさん」や「一年生になったら」「やぎさんゆうびん」
の作詞家として多くの人に知られています。
小生の世代やその子供たちも
時代を超えてこれらの曲を口ずさんで育ったような気がします。
素晴らしい詩を世に残して逝かれました。

まどさんの詩集の中で「くすっ」と笑える作品があります。

もうすんだとすれば

もうすんだとすれば これからなのだ
あんらくなことが 苦しいのだ
暗いからこそ 明るいのだ
なんにも無いから すべてが有るのだ
見ているのは 見ていないのだ
分かっているのは 分かっていないのだ
押されているので 押しているのだ
落ちていきながら 昇っていくのだ
遅れすぎて 進んでいるのだ

一緒にいるときは ひとりぼっちなのだ
やかましいから 静かなのだ
黙っている方が しゃべっているのだ
笑っているだけ 泣いているのだ
ほめていたら けなしているのだ
うそつきは まあ正直者だ
おくびょう者ほど 勇ましいのだ
利口にかぎって バカなのだ
生まれてくることは 死んでいくことだ
なんでもないことが 大変なのだ


「くすっ」

さて彼は作詞家でありながら
一時期、絵に没頭した時期がありました。
それが先日の番組のテーマです。
一定期間は詩の創作をやめてすべての時間を絵に集中。
終日、絵を描くことで過ごされたようです。

その絵を今回の番組で見ることができました。
完全な自己流だそうですが、
素晴らしいアートであると専門家からは評価されていました。
超一流の詩人であって一流の画家。

この番組のゲストは詩人の谷川俊太郎さん。
この頃のまどさんの心境を推察して、こうおっしゃっていました。

詩の創作にマンネリが生じた時、打破しようとした心が絵に向かわせたのでしょう・・・。


人類に言葉ができて、たかだか一万年。言葉や文字の行間だけで、目に見えない心や思いを表現できるか・・といえば、超一流の詩人であっても限界を感じる時もあり・・・ジレンマもある・・・。


言葉で現わすことができないもどかしい時、絵を描くことで埋め合わせされたのでしょうね。


少なくとも一時期のまどさんにとっては、必然の流れだったのでは・・・。


そんなコメントも印象的でした。

いつだったか、美術館のキュレーターとの雑談の中でこんな話を耳にしました
古代ギリシャ、ローマの時代、芸術家にもランクがあり、
画家はかなり下の方だったとか・・。
彫刻家はもう少し上で、最高ランクは詩人であったと・・・。
まあ今に生きる我々は、上下にトンチャクはしませんが面白い話です。

「詩や絵画に限らず、何かで超絶した高みに到達した人は
おおよそ他のことでも軽々と高みに至ることができる」

誰かの言葉ですが、確かに世の中を俯瞰してみると
同感できる部分が多々あります。
うらやましい話です。

さて、今日も秋空、よい天気。
額装の仕事に集中します。
ブログを綴っているとテンションが上がってきました。
益々技術の高みを目指して頑張ります。  

   額装の㈱アート・コアマエダ(店主)